不動産相続をしたけれど、相続人の1人が亡くなってしまった場合、相続の手続きはどうなるのでしょう。
相続はときに大きな資産価値が動くため、相続人の間でトラブルになることも珍しくはありません。
そんななかで相続人が1人いなくなれば、さらにトラブルが大きくなるといったケースも考えられるわけです。
ではそういった場合の相続のひとつである数次相続について解説していきます。
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数次相続とは、現在相続の手続き途中であるとき、その相続人の1人が亡くなってしまったため、次の相続が発生する状況のことを言います。
あまり聞かない用語ですが、少なくはないもので、たとえば同い年くらいの夫婦のどちらかが亡くなった後、残された方もすぐに亡くなってしまうケースがこれに当たるでしょう。
相続に関しては、相続人として第一順位が子、第二順位が親や祖父母といった直系尊属、そして第三順位として兄弟姉妹といった順番になります。
これに加え、その亡くなった方に配偶者がいれば常に相続人となり、その順序どおりに遺産を引き継ぐわけですが、この相続人が亡くなることもあるわけです。
父親が亡くなると、母親とその子が相続人となり遺産分割協議を始めますが、その途中で母親も亡くなった場合、子にとっては母親の財産も遺産分割協議の対象となります。
つまり母親の遺産のなかには継ぐはずであった父親の遺産も含まれているため、子は父から母、そして母から子といった2回の相続をすることから数次相続と言うのです。
相続人が亡くなった場合の相続方法としては、数次相続のほかにも代襲相続がありますが、相続人の亡くなるタイミングによって異なります。
代襲相続とは、たとえば父親が亡くなったときに、相続人であるその子がすでに死亡している、あるいは相続の権利がないといったときの相続方法のことです。
本来は第一順位の子が相続するものを、その順位が空白になるためその下の順位である孫や兄弟姉妹、また姪・甥が代襲相続人となります。
このとき注意すべき点として、代襲相続人になれるのは相続人の直系卑属、つまり相続人よりも後の世代である子や孫で、配偶者や親は代襲相続できないわけです。
また同じような相続で相次相続といったものもあり、こちらは短期間で相続が相次いで起こっている状況を言い、主に相続税に関係してくるものです。
相続が短期間に集中して起こると、同じ財産に対して相続税が二重に課されるため、場合によっては相続人に重い負担がのしかかります。
この負担の軽減策として相次相続控除といった特例を設け、10年以内に相次いで相続が発生した場合、相続税の一定部分を控除できる仕組みにしています。
不動産相続時で数次相続になったときの注意点について
遺産分割協議の途中で相続人が亡くなり、数次相続となった場合の注意点についてですが、主に税金面に関するものになるため、知っておくほうが良いでしょう。
まず、相続人には相続税申告と納税義務が課せられますが、その相続税を納める前に相続人が亡くなった場合は、その相続権と納税義務は次の相続人へと引き継がれます。
相続税の基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)といった計算式で表され、つまり法定相続人が多いほど控除額が増えるわけです。
しかし数次相続のケースでは、亡くなった方の相続が発生した時点での法定相続人の数での計算となるため、数次相続で相続人が増えたとしても控除額は変わりません。
相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日翌日から10か月以内と定められていますが、数次相続の場合はそれが延長されます。
具体的なケースとしては、一次相続の時点でその相続税を申告しようとしていた方が亡くなった場合、それを知った翌日から10か月以内となります。
ただこれはあくまでも一次相続で相続人となった方のみが対象で、二次相続において相続人となった方には適用されず、申告期限は本来のままです。
また数次相続も相次相続控除が受けられ、被相続人がその相続を開始する10年前までさかのぼりそこで一度相続があった場合、納税額から一定の額が控除されます。
税金に関してもうひとつ、配偶者の税額の軽減を適用して遺産分割すると、一次相続と二次相続で相続税額の負担を軽くできるのです。
これは被相続人の配偶者が相続した遺産の額について1億6,000万円か法定相続分相当額のどちらか多いほうまでは配偶者に相続税がかからないといった制度になります。
同じように、小規模宅地等の特例を適用すれば、一定の要件を満たす小規模の宅地であれば、その評価額が最大で80%まで減額できます。
この特例の対象となるのは、被相続人が住んでいた特定居住用宅地、事業用に使われていた特定事業用宅地等、そして賃貸用の貸付事業用宅地等の3種類です。
そして最後の注意点として、遺産相続はたとえば預貯金や土地などのプラスの資産だけでなく、借金やローンの残債といったマイナスも引き継ぐわけです。
そのためそのマイナス、つまり負債が多すぎて相続すると相続人の負担が大きくなりすぎる場合、家庭裁判所で手続きすれば、相続放棄ができます。
これは相続が始まったことを知った日から3か月以内が申告期限となり、これを過ぎると相続が決まってしまうためとくに注意してください。
不動産相続が決まり数次相続になった場合の手続き方法について
数次相続が決まったら手続きを開始しなければいけませんが、まずやることとして、相続人が誰になるのかを確定させる作業に入ります。
これは相続人が1人でも欠けた場合、この後におこなう遺産分割協議が無効になってしまうためで、被相続人の戸籍謄本で法定相続人をすべて確認してください。
次に遺産分割協議を始めますが、これは残された遺産を相続人全員でどのように分割するのかを相談するもので、成立には全員の同意を必要とします。
この遺産分割協議がまとまれば、遺産分割協議書を作成しますが、このとき一次相続と二次相続について別々に作成すると後々の混乱を防げます。
もし遺産分割協議書を別々に作るのであれば、一次相続のものに関しては通常のものとは書き方が異なってくるため、その点も注意が必要です。
ではその一次相続における遺産分割協議書の書き方ですが、通常は最初に被相続人の氏名や生年月日、亡くなった日、そして住所や本籍地などを書き入れます。
しかし別々に作成する場合は、一次相続人のうち既に亡くなっている方の肩書を「相続人兼被相続人」として記載し、相続人においても相続人ではなく、「相続人兼〇〇〇の相続人」となります。
その後相続登記へと移りますが、原則として遺産分割協議書と同じ順序、つまり一次相続・二次相続の順で手続きをおこなってください。
ただ数次相続において、中間の相続人が1人といったケースでは、中間省略登記が利用でき、まとめて1回の申請で登記がおこなえるため、該当する場合は便利です。
この相続登記に必要な書類として、まずは被相続人の戸籍謄本と除籍謄本、そして相続人全員の戸籍謄本および住民票の写しとなります。
ほかにも遺産分割協議書はもちろんのこと、相続する土地の登記簿謄本、相続人全員の印鑑証明書と固定資産税の評価証明書が必要です。
まとめ
相続はその資産価額が大きいため相続人の間でトラブルになるケースがあります。
それを避けるためには、身内の間で話し合って誰もが納得する分割方法を取る必要があるわけです。
とくに相続人が亡くなった場合、数次相続が発生し、より複雑になるため、税理士に相談するのも一つの方法として考えておきましょう。
株式会社Home Style スタッフブログ編集部
京都市右京区西院に店舗を構え不動産仲介や不動産買取を行っている株式会社Home Styleです。京都市右京区・中京区を中心に京都全域の戸建、土地、マンション等の物件を多数ご紹介しています。今後も不動産や相続に関する記事を主にご提供します。