根抵当権付きの不動産の売却を検討しているけれど、売却の流れや注意点がわからないという方もいるでしょう。
不動産を売却するには、正しい知識がないとトラブルになる可能性もあります。
今回は、根抵当権付きの不動産売却の流れや注意点についてご紹介します。
不動産の売却を検討している方は参考にしてください。
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弊社へのお問い合わせはこちら根抵当権の特徴
根抵当権とは担保物権のひとつです。
登記する際に、極度額といわれる貸し出しの上限金額を設定し、その範囲内であれば金額や回数に関わらず審査の必要がなく借り入れが可能です。
主に事業者向けに設定される担保ですが、不動産によっては個人の不動産契約にも関係する場合もあります。
ここでは、根抵当権の主な2つの特徴をご紹介します。
極度額の範囲内で何度でも借り入れできる
まず1つ目の特徴は、極度額までであればその範囲で何度でも借り入れや返済ができることです。
また、一度借りた融資をすべて返済したとしても、抵当権と違い消滅することはありません。
そのため、再度お金を借りたいときにもスムーズに融資を受けられます。
他の融資に比べて資金を捻出しやすいため、事業者に向いているといえます。
貸し出しできる上限額は、極度額の8割程度で設定されるのが一般的です。
極度額は不動産の価値に応じて算出されます。
登記の手間と費用が省略できる
2つ目の特徴は、抵当権に比べて登記の手間と費用が省けることです。
抵当権を設定する場合には、必ず設定登記をおこなうことが必須になります。
設定登記とは、金融機関などから貸し付けを受けるときに、担保として融資の対象となる土地や建物に抵当権を設定することをいいます。
登記をおこなうには、登録免許税が必要です。
納税額は、借入額 × 0.4% または0.1% で計算します。
仮に、同じ不動産を担保に何度も融資を受けたい場合には、そのたびに抵当権の設定登記をしなければいけません。
そして、借り入れる金額に応じて登録免許税を支払う必要があります。
さらに、手続きを司法書士など専門家に依頼する場合は依頼料もかかるでしょう。
これに対して、根抵当権は最初に設定登記をおこなうだけで済みます。
つまり、何度でも同じ設定登記で融資が受けられるため、登記を何度もおこなう必要がなく、登録免許税の費用もかからないのです。
根抵当権付きの不動産売却の流れ
根抵当権付きの不動産を売却する際の流れをご紹介します。
不動産を売却する場合は、根抵当権を抹消することに手間がかかり、手続きも複雑です。
売却までに時間を要する場合が多いため、余裕をもってスケジュールを組むと良いでしょう。
残積と査定価格の確認
まずは売却する不動産の残債と査定価格を確認しましょう。
査定価格が残債を上回っている場合は、売却益で残債が返済できるため売却が可能です。
売却予定物件のローンを売却益で返済できる場合は、債権者との交渉に進みます。
一方、売却しても残債が残る場合は、自己資金によって残債分を補填し、残債を返済する目処が立った状態になってから債権者との交渉に進みます。
仮に、自己資金でも残債分を補填できない場合には、原則として根抵当権の付いた不動産の売却はできないため注意してください。
元本確定
残債を返済する目処が立っている場合には、債権者である金融機関との交渉をおこない、根抵当権を抹消するための合意を得る必要があります。
金融機関にとって、不動産への融資は利益を得やすいため、容易に抹消には応じてくれないこともあります。
しかし、抹消できないことには不動産の所有権を移転できないため、根気強く交渉しなければいけません。
不動産の売却金額が債務を上回っていると、円滑に手続きがしやすくなるでしょう。
債権者である金融機関の合意が得られたら、元本確定に進みます。
元本確定とは、極度額の範囲内で繰り返していた借り入れと返済をストップし、その時点での借り入れ金額を確定することをいいます。
ただし、元本確定以降は自由にお金を貸し借りできなくなるため注意してください。
元本確定する場合、民法によって定められている元本確定事由に該当する必要があります。
不動産の売却
債権者との合意が取れたら、不動産の売却に移れます。
不動産の購入者が決まったら抹消登記をします。
抹消登記は法務局に申請しなければいけません。
売却した不動産の引き渡しまでに抹消登記を必ず完了させておきましょう。
抹消登記には、抹消登記用書類を作成するのに手間がかかり、専門的な知識が必要です。
そのため、手続きには多くの時間と手間がかかります。
また、抹消登記のための書類には有効期限があるため、期限内に手続きを完了させなければいけません。
さらに、登録には申請から1週間から10日程度かかるため、余裕をもって手続きを進めておくことが重要です。
根抵当権付きの不動産売却時の注意点
根抵当権付きの不動産を売却するには、いくつか注意点があります。
売却を検討する前に注意点について把握し、対策しておきましょう。
根抵当権の抹消のための交渉に時間がかかる場合がある
根抵当権の抹消には、債権者の承諾を得る必要があります。
一般的な債権者は、銀行などの金融機関です。
債権者である金融機関からすると、不動産への融資は利益を得やすいため、できるだけ顧客を失いたくありません。
そのため、抹消の合意を容易に受け入れてくれない場合があるのです。
抹消登記ができないと不動産の売却ができたとしても、引き渡しができないため根気よく交渉しなければいけない場合もあるでしょう。
また、金融機関によっては借り入れた債務をまとめて返済すると、高額な手数料や違約金がかかる場合もあります。
登記の抹消を前提とした不動産売却の場合、早期に金融機関に合意を取り付ける必要があります。
また、契約内容を確認し、手数料や違約金がかかる場合は、その分の資金についても確保しておかなければいけません。
不動産の所有者と債務者が異なる場合にトラブルになる場合がある
根抵当権の設定状況によっては、不動産の所有者と融資を受けた債務者が異なる場合があります。
この場合、所有者が不動産の売却をしたときに、知らない間に借り入れた金額が増えており、不動産を売却しても債務を返済できない可能性があるので注意が必要です。
こういった事態を防ぐために、不動産の所有者と債務者が異なる場合は、元本確定の手続きをすると良いでしょう。
不動産の所有者は、設定時から3年経過すれば、担保すべき元本の確定を請求できるようになります。
そして、担保する元本は、請求の時から2週間経過すると確定します。
トラブル予防のためにも、不動産の所有者と債務者が違う場合は元本の確定請求をすると安心です。
元本確定後は元に戻せない
元本確定すると、根抵当権は抵当権と同じ扱いになります。
そのため、一度元本確定すると、抵当権から元に戻すことはできません。
仮に、何らかの理由で資金の借り入れをする必要が出てきた際には、元に戻せないため注意が必要です。
今後、融資を受けられなくなることで問題がでないかを十分に確認してから元本確定をおこないましょう。
まとめ
今回は、根抵当権付きの不動産売却の流れや注意点についてご紹介しました。
根抵当権付きの不動産を売却するには、抹消登記に時間と手間を要します。
また、正しい知識をもっていないと、売却時にトラブルに繋がる場合もあります。
円滑に売却手続きを進めるために、正しい知識をもち、余裕をもったスケジューリングをしましょう。
株式会社Home Style スタッフブログ編集部
京都市右京区西院に店舗を構え不動産仲介や不動産買取を行っている株式会社Home Styleです。京都市右京区・中京区を中心に京都全域の戸建、土地、マンション等の物件を多数ご紹介しています。今後も不動産や相続に関する記事を主にご提供します。